• CONTACT US

イップスで悩むアスリート

「イップス」って聞きなれない言葉かも知れませんが、スポーツの世界ではよく使われるようになりましたが、まだまだ知らない人もいて、悩み続けているアスリートもいるのではないでしょうか?

スポーツトレーナーとして30年近く、今では学生アスリートを中心にサポートしていますが、「イップス」までは行かなくても、一度のミスや、指導者やコーチに怒られたことで、そのあと不安や緊張から動きが悪くなる選手はいます。

「落ち着け!」とか「集中しろ!」「緊張するな!」と指示したところで、ますます体は硬くなるばかり。案外、スポーツをされている方なら経験したこともあるのではないでしょうか?

最近、筋肉や関節の調整だけではなく、脳から体への指示を正確に行えるようにになれば、パフォーマンスは必ず向上すると考え、脳について学んできました。

脳を学ぶと、アスリートが悩み、苦しむイップスの改善のためのトレーニング方法もわかってきましたので、そんな心の問題にもサポートしていこうと考えています。

まずはそんな人のために、イップスについてお話をしていきます。

イップスとは?

イップスとは、誰もがかかってしまう可能性がある精神的な症状の一つです。
過度のプレッシャー、過去のミス、大きな怪我などを経験すると、自分でも気がつかないレベルで記憶されてしまい、その恐怖から体が動かなくなるような症状です。

  • 野球のピッチャーが打者にデットボールをしてしまってから内角にボールが投げられなくなる
  • ゴルフで池ポチャをしてしまったがために、次のホールから緊張して思うようなスイングが出来なくなる
  • テニスでダブルフォルトをしてしまったがために、サーブが入らなくなる
  • 試合中、大きな怪我などをしてしまったがために、復帰後思い切ったプレーが出来なくなる

などのような、スポーツをしている人なら、誰もが大なり小なり精神的にダウンし、それが体の動きを低下させてしまうような症状です。

これは無意識の中で、体をセーブしてしまっているので、なかなか意識だけでは改善が難しいと言われています。

イップスの原因とは?

イップスは極度の緊張感やプレッシャーなど、精神的なことが原因で、思い通りに体を動かせなくなる状態です。
先程述べた通り、ミスをしたり、怒られたり、周りからの期待で重圧感を感じたり、怪我をしたりが主な原因です。

またそれらを忘れようと努力しても、なかなか忘れられずより抜け出せなくなる負のスパイラルに巻き込まれて悩んでいるアスリートも大勢います。

意識で忘れようとしても、無意識で覚えこんでいるので、なかなか消えていかない状態です。
ではどのように無意識を自分でコントロールすべきなのか。。。

イップスを克服するためには

脳の奥に箱があると思ってください。
その箱の中にあるデータ消去し、新しい情報を書き込めばよいだけなのですが、それが難しく感じる人がこのような症状に悩まされてしまいます。

同じような状況が行っても、気にしない選手もいれば、気にし過ぎて体が思うように動かなくなるなどの重い症状の選手もいます。

そのためにはまず

  1. 過去のデータを消去する
  2. 新しいデータを書き込む
  3. 成功をイメージする

大丈夫だ!と自分に言い聞かせたとしても、元々無意識の箱の中に「大丈夫じゃない」が入り込んでいるため、やっぱり駄目だになってしまうのです。

そのデータをまずは消去し、心に頭に体に良くないことを辞めて、新しい自分をイメージし、データを送り込むのです。
それを毎日のワークとしてノートに書き込む(アウトプット)をしていきます。

過去のデータを消去し、新しいデータを書き込む

例えば野球のピッチャーが、打者にデットボールを当ててしまい、インコースに投げれなくなった選手を例に挙げます。

脳の奥にある無意識の箱にあるのは

「当ててしまった。申し訳ない。」とか、
「また当ててしまうのでは?」
「監督に怒られるのでは?」と書き込まれています。

確かにデットボールをしてしまうことは良くないことかもしれません。
でもそれはわざとぶつけたのではないですよね。
打者に打たれないように投げたボールですよね。

「当ててしまった=悪いこと」のデータを消去し、書き換えるためには「打たれないように攻めた=良いこと」としてデータを悪いから良いに入れ替えるのです。

結果にフォーカスしているのを、課程にフォーカスをするのです。
これをノートに書きだすワークをしてください。

成功をイメージする

内角のきわどいボールを投げ込んで、強打者を3球三振に仕留め、勝利を勝ち取るイメージをノートに書き込み、1日3回。
そのシーンをイメージトレーニングをするのです。

出来る限りそのシーンは克明に描写しておく必要があります。

  • 試合の会場はどんな球場
  • 観客席には誰がいる
  • チームメイトの顔
  • 応援してくれる声
  • 風の音
  • マウンドの感触

などできれば五感(視覚、嗅覚、触覚、聴覚、味覚)で感じるシーンを思い浮かべることが大切です。

それともう一つのワークです。

「自分を信じる」
です。

これはスポーツに限ったことではありません。
仕事でミスをして上司に怒られたり、学校でへまをして仲間に笑われたり、恥ずかしい思いをしたりで脳の奥にある「無意識箱」に勝手に悪いものと書き込まれています。

そうすると「恐怖」としてまた起こらないように自分で無意識にガードし始めます。
本当は自分で自分を守っているだけなのに、自分の体が動かなくなるので嫌がってしまう反応です。

  • 失敗はない
  • 心配はない
  • 苦手はない
  • 難しいはない
  • 後悔はない

などの脳の奥の箱のデータを入れ変える必要があります。
スポーツにおける成功も、ビジネスにおける成功も、人生における成功も全て同じです!

言ったことに意味がある!です。

デットボールをしてしまったことで気づき、それをきっかけに投球練習にも集中し、結果的にコントロールが良い投手になっている可能性は大です!

まだまだ練習を沢山行えば上達すると考えている人が沢山います。
小学生レベルだと、もしかしたら練習量と、コーチの指導力、本人の能力さえあれば上達するかもしれません。

今ならね。

でもこれからは違ってきます。

体も心も鍛えてくる小中学生が出てくると思いますが、そんな選手がいっぱい出てきてから体を鍛えよう、心を鍛えようと言っても遅すぎるかも知れません。

イップスにならないためのメンタルコンディショニング

ジュニアアスリートに多く見られるのが「自分の自信がない」と言う思いがある子は、少しのミスや、指導者、コーチ、チームメイトから言われた言葉などからより自信がなくなる子がいます。

20年近くジュニアアスリートの保護者向けにセミナーを通して、「メンタルコンディショニングの重要性」を指導してきましたが、保護者の悩みの中にも「自分に自信がない」「怒られるとすぐに凹む」「気持ちの切り替え方がわからない」などのご相談を受けることがあります。

ここ数年はフィジカル的なご相談より、メンタル的なご相談の方が多くなってきています。

試合や練習だけでメンタルを整えて行くには難しいと考え、保護者の方に自宅でもできる「メンタルコンディショニング」を教えています。

自信がない子には、「自信を持て」ではなく、自分のよいところを見させる声かけをして欲しいです。

例えば、「今日の試合でよかったところはどこ?」とか「今日の○○は良かったと思わない?」など、悪かったことを思い出させるのではなく、よかったことを常日頃から考えさせるようにすると、自分にもよいところがある!と脳は感じ、自分の自信が持てるようになります。

これは我々のトレーナーの役割よりも、いつも側にいる保護者の方、特にお母さんの役割であって欲しいと思います。

ページ上部へ